本稿は役割語の種類の一つである「老人語」の特徴を解説するものである。金水の理論を用いて老人語の役割語的特徴を、「化物語」という漫画からデータを抽出し標準語での相当語句と比較する。標準語との比較と使用例を挙げることで老人語の特徴をより明確にすることが出来る。以上の目的を達成するため Chaerの理論を使用し「語彙的意味」と「文法的意味」で老人語の役割語的特徴を分類し、Mahsun の研究方法に従いデータを収集し分析した。結果として、合計 203 のデータが挙げられ、その内 34 のデータが一人称代名詞の使用例、26 のデータが二人称代名詞の使用例、30 のデータが古典風(老人風)語彙、存在詞である「おる」が 3 つ挙げられた。その他、断定表現の使用例が 39,終助詞の使用例が 16, 疑問助動詞の使用例が 21,打ち消しの使用例が 22,進行・状態を示す表現の使用例が 12 のデータが挙げられた。以上の老人語の特徴例から標準語と比較した結果、以下の違いが見られる。人称代名詞では一人称の「私」と相当する「儂」が老人語表現で用いられ、二人称では「お前」と相当する「うぬ」や「あなた」と同列の「お主」が使用されている。こういった違いがほかのとくちょうにも挙げられている。キーワード : 役割語、老人語、標準語、特徴と比較